茨戸川は、石狩川のショートカット事業(生振捷水路)により、昭和8 年に石狩川本川から切り離された、延長約20km、平均幅200mの石狩川の旧川で、札幌市街地を流れる多くの中小河川が流入しており、ボートや釣りに利用されるなど、地域住民の憩いの場となっているほか、全域が漁業利用され、その水は周辺地域の農業用水として利用されている。

 

 

 しかし、茨戸川には、札幌市の発展とともに市街地の下水処理水が流入し、昭和48年8月にはアオコ(富栄養化による藻類の異常繁殖)の大量発生が確認された。水の交換の少ない旧川という環境もあって、下水処理水の影響をより強く受け、藻類が死滅してカビ臭が発生、また、水中の溶存酸素を奪うため魚類の斃死などが生じた。
 茨戸川でのアオコの大量発生を受け、国・北海道・札幌市・石狩市は連絡協議会を設置し、緊急的な対策や水質改善に向けた調査研究を進めることとなり、浄化対策の一環として、国による底泥浚渫が、昭和53年から平成11 年にかけて行われた。茨戸川、創成川、伏籠川の3川が合流する地点を中心に、浚渫延長約10km、浚渫土量約164 万m3 に及ぶもので、水質は改善方向に向かったものの、依然としてアオコが発生し、環境基準を達成できない状況だった。

 
     
 

 
 かつて札幌扇状地の扇端より先(現在のJR札幌駅より北側)は、メム(アイヌ語で湧泉の意)から湧き出る豊富な水により、湿地帯であった。しかし市街化が進み、雨水の地下浸透の減少や地下水利用量の増加等により、湧き水はほぼ涸れた。このため、湧き水を水源としていた札幌北部地区の伏籠川などの河川は、平常時の流量が減少し、水質悪化が進んだ。