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デンマーク独特の言葉に「ヒュッゲ(Hygge)」というものがある。居心地のいい、快適な、温かみのある様を表す言葉なのだが、長くて暗い冬を家の中で過ごさなければならない彼らにとって、家の中において如何にヒュッゲな雰囲気を作り出すのかにかけるエネルギーたるや凄まじいものがある。日本でも高い人気を保ち続けている北欧家具や北欧照明は、家の中を少しでもハイセンスに、そしてヒュッゲな空間にしようとする彼らの意気込みそのものなのである。
さて、デンマーク人はこうしたヒュッゲな空間を作り出すべく、比較的若い年齢層でも簡単に住宅を買ったりしている。実は、住宅の寿命が凡そ20〜30年と言われている日本に比べ、デンマークのそれは数倍は長いといわれているからである。これは、住宅に投資するお金を大幅に節減できるということなのだが、老朽化による資産の目減りがゆるやかなため、住宅ローンも組みやすく、気軽に住宅を購入することができるのである。
さらに、住宅を売買する際には、住宅診断書に基づく専門家のチェックが行われ、トラブルの発生が未然に防がれている他、保険会社が住宅に係るリスクをカバーする制度が整っていることも円滑な住宅売買を下支えしていると言える。こうした状況は住宅市場の流動化に繋がっており、簡単に住宅を住み替えたりすることを可能にしているのである。長い人生において、家族のサイズや事情は当然変わるものであり、それに応じてその都度適した場所とサイズの住宅に住み替える彼らのライフスタイルは、非常にスマートとしか言いようが無い。 |
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