デンマークは、コペンハーゲンのあるシェラン島及びその他400余の島によって構成される、面積約43,000(グリーンランド等を除く)、人口約550万人の北欧に位置する小国である。経済規模においても、GDP上は、北海道等、日本の一地域と同レベルに過ぎず、よくデンマーク人からは「小国ですから…」という言葉を口にする。しかし、この言葉の裏側には、小国ながらも、自国が世界において十分なプレゼンスを発揮しているという自負と、自国を愛し、そしてそこでの生活に大いに満足しているとの充足感が漂っているのである。 |
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デンマーク人の一般的なライフスタイルを紹介するために、コペンハーゲン市内の海運会社に勤める35歳のイェンスに登場してもらうことにしよう。イェンスは、妻と一人娘と共に、最近、郊外のヘアレフに買ったマンションで暮らす働き盛りのビジネスマンである。 |
イェンスの1日の始まりは朝6時と早い。起きて早々近くの公園をランニングするのが日課だ。7時には家族そろって朝食を食べるが、市内の医療会社に勤務する妻のマリアンヌが少々早めの出勤とあって、娘のエマを幼稚園まで送っていくのはイェンスの仕事である。この日も自転車の後部座席にエマを乗せて近所の幼稚園まで送り届けると、最寄りの駅まで直行である。自転車でそのまま電車に乗ることができるし、何より会社まで30分とかからないのが有りがたい。
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首都コペンハーゲンを含むシェラン島において1947年に提唱された「フィンガープラン」。これは、コペンハーゲン中心地より手の指に沿って近郊電車(S-train)を敷設し都市開発を行うと共に、指と指の間には自然を残そうとする考え方である。 |
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