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 北海幹線用水路は、赤平市住吉の空知川の取水口・北海頭首工を起点に、砂川市、奈井江町、美唄市、三笠市、岩見沢市、終点の南幌町まで、約80kmにわたって農地にかんがい用水を送るわが国最長の農業用水路である。大正13年の工事着工から昭和4年の完成以降、時代に適合した改修を行いながら今に至っている。かんがい用水は毎年 5月から 8月までの約 100日間流され、多い時は空知川から毎秒42取水する。これは1日にすると360万、札幌ドーム2.3杯分もの量で、もちろん北海道一。
 北海幹線用水路は、平成16年には次世代に引き継ぎたい北海道の宝物「北海道遺産」に農業用施設として唯一選定され、平成18年には日本の農業を支えてきた代表的な用水「疏水百選」(農林水産省)に選定された。

 
 


 
   
 

 始点の赤平市と終点の南幌町との高低差は約28mで緩勾配だが、極力無駄なエネルギーを使わないよう自然流下する流路が選定された。途中、道央自動車道やJR、河川で分断される地点がある。道路は高架の下を通したり、河川は水路橋をかけて上を流している。
 また美唄川や夕張川と交差する地点では、「逆サイフォン」の原理を利用して河川の下を潜り、低いところから高いところに水を上げている。三笠市岡山の幾春別川から市来知頭首工で取水し、農地をかんがいしながら北海幹線用水路へ注水する、「市来知幹線用水路」等、幹線からの水を合わせ、南幌町が終点となっている。
 このように北海幹線用水路の旅路には、迫力ある土木景観やさまざまな工夫や仕掛けが点在している。わが国の高い土木技術を学ぶことができる路でもある。

 
 
ペンケ歌志内川に架かるペンケ水路橋。砂川市焼山
(写真:北海土地改良区)