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 昭和56年8月4日、史上最大の洪水が北海道を襲った。豪雨は、石狩川全流域で大出水をもたらし、札幌の総雨量は293mmと史上最大を記録、茨戸川のピーク水位も3.08mで浸水面積は4,880ha、浸水戸数5,901戸に上っていた。北海道開発局では、被害をこれ以上拡大するのを防ぐため、護岸と水門等が概成していた石狩放水路の緊急通水を検討し準備を進めるとともに、石狩市や漁業関係者等とも協議を進め、合意に至った。
 緊急事態とはいえ、完成前の治水施設が使われることは稀で、テレビや新聞でも大きく報じられた。5日18時から夜を徹した作業が始まったが、茨戸川の水位上昇は予想以上に大きく行く手を阻み、40枚引き抜く予定だった締切矢板は18枚で中止せざるを得なかった。こうして6日18時7分、掘削機が1かき2かきすると、茨戸川の水は日本海に勢いよく流れ込んだ。通水能力は当初40と推定されたが、通水後の洗掘で最大200まで放流され、放水路の効果は短時間で発揮された。

 
     
     
 

昭和56年8月洪水の3川合流点の氾濫状況(写真:北海道開発局)

 

報道関係者や住民が見守る中での緊急通水(写真:北海道開発局)

 
     

 
 

 石狩放水路は、昭和56年の緊急通水を含め、現在までに17回稼働している。不思議なことに平成13年から10年間はなかったが、平均して2年とあけずに稼働していることになり、平成23年からは毎年稼働している状況だ。つまり、それだけ洪水が発生しているのだ。