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3.11の東日本大震災以降、人々の防災意識は高まっているが、川の防災ではかなり前から、自分が居る場所の降雨量や川の水位を誰もがリアルタイムで得られるなど、情報提供は進んでいた。
そしてついに、今までとらえ難かった集中豪雨を観測できる、革新的なレーダが道内に登場した!

 
     
   
 

XバンドMPレーダ全景。内部にレーダーアンテナが設置されている

 
     
   
 

 北海道開発局では、近年増加する集中豪雨や局所的豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)による水害や土砂災害に対して、迅速な河川管理や防災活動に役立てるため、集中豪雨をほぼリアルタイムに観測可能なXバンドMP(マルチパラメータ)レーダを道内で初めて北広島市河川防災ステーションに整備、精度の検証を終え、パソコン用ホームページ「X RAIN (エックスレイン)」にて配信を開始する予定だ。
 XバンドMPレーダは、従来のCバンドレーダーに比べ、高い解像度で観測できるのが特長。観測間隔も1分に大幅に縮小された。国土交通省では、小学生等が犠牲になった2008年の兵庫県神戸市都賀川の水難事故を契機に、XバンドMPレーダの全国主要都市への整備に取り組み、平成24年度で27基、現在は北海道とともに東北でも進められている。

 
     
   
 

http://www.river.go.jp/xbandradar/ *「エックスレイン」で検索すると検索結果1位に表示されます。

 
     
   
 

 水平偏波と垂直偏波の2種類の電波を用いることにより、偏波間の位相差、ドップラー速度等の複数のパラメータを取得することができるため、雨粒の粒径分布を地上雨量の補正なしに直接観測でき、高頻度な観測(1分毎)も可能に。豪雨の卵を早期に検知し、形成過程の観測、風の観測にも対応する。

 
     
   
     
 
 

 平成22年8月、道央で雨雲が発達し、中空知などで局地的に強い雨をもたらした。その後、北海道全域を横断する細長い帯状となり停滞し、滝川では総雨量100mmを超える大雨が降った。この線状降水帯は、局地的に49.5mm/hと強い雨をも記録した。こうした線状降水帯の発生が道内でも増加していることから、集中豪雨をもたらす雨雲の発達段階からの観測が必要となった。

   
 

【札幌の南と北に設置して道央圏を効果的に観測】

     
   

 北広島市に整備されたXバンドMPレーダは、観測範囲が半径60kmで、特に政令指定都市の札幌市を貫流する豊平川流域の雨量観測体制が強化できる。そして現在、石狩市の石狩放水路管理センターに平成25年度内を目標に2基目を整備中だ。札幌の南(北広島市)と北(石狩市)に設置することで、札幌市を中心とした道央圏の効果的な観測が可能となるばかりか、広域を観測できるCバンドレーダと合わせて、お互いの観測不能域を補い合い、マクロとミクロで観測精度が向上する。

 

 

 

 

 
         
   
 

 XバンドMPレーダの観測結果は、国土交通省ホームページ「X RAIN(エックスレイン)」で配信されている。パソコンでインターネットを閲覧できる環境にあれば、最新時刻の静止画、30分前までの履歴動画(5分毎)を誰もがいつでも閲覧できる。

 
     
   
 

http://www.river.go.jp/xbandradar/ *「エックスレイン」で検索すると検索結果1位に表示されます。

 
 
 
 
     
     
   
 

 国土交通省では、XバンドMPレーダによる観測データをより多くの人に知って見てほしいと、サイト名はわかりやすく「X RAIN(エックスレイン)」にした。さらに関係機関と連携して、局地的な降雨の予測モデルの確立と、局地的豪雨に対する早期の洪水予測を目指すという。配信されている地域では、放送局への画像提供や水防活動での活用、鉄道会社が線路に流れ込む水量を予測して運転保安の確保に活用する高度な例もある。
 北海道開発局でも、学識者と勉強会を立ち上げ、観測データの有効活用を検討していく。防災情報の活用事例では、関係市町村や機関が各々所有している情報を、北海道開発局が所有する光ファイバー網を利用して集約し、より面的に把握できる防災情報共有システムがあり、平成22年度末で36機関136市町村が参加している。
 革新的な情報をいかに使うか、見る力を養うことも重要だ。とりあえず、出掛ける前に降雨状況を確認したり、身近なところからはじめよう。

 
     
 
※使用した資料と画像はすべて北海道開発局提供