aa bb dd ee ff gg
     
 

 北海道開発局の広報室では、各調査から若年層、とくに女性が開発局のことを知らない傾向にあるという結果を受け、若年女性層への広報強化を目的に、「開発局認知度向上プロジェクト」を平成24年11月に開始しました。プロジェクトには、札幌大学と東海大学の女子大生5名が参加、開発局についてレクチャーを受け、定山渓ダムと小樽港を見学しました。これらで得た知識をもとに、平成25年1月24日に意見交換会を開催してプロジェクトを総括しました。
 この間の12月10日、プロジェクト・チームのリーダー庄司さん、メンバーの伊東さんと、石狩川を中心とする河川事業に焦点を絞って意見を交換しました。
 はたして、現代の女子大生が抱く石狩川のイメージとは?

 
     
 

【日時】平成24年12月10日(月)13:05~14:00
【場所】北海道開発局建設部内洪水対策室
【出席者】
[プロジェクト・チーム]
 庄司朱里(あかり)さん(札幌大学3年生=当時、プロジェクト・チーム・リーダー)
 伊東杏奈(あんな)さん(札幌大学1年生=当時)
[北海道開発局]
 建設部河川計画課 石川企画官(当時)  舘井技官(当時)
 (司会) 開発監理部広報室 目黒室長

 
     
   
     
   
   


















石狩川の捷水路事業等をスクリーンや資料を用いて説明
(右側奥から、庄司さん、伊東さん。左側奥から、石川企画官、舘井技官、目黒広報室長)

 
         
   
 

司 会今までの話を聞いて、川に対する印象は変わりましたか?
庄 司私は、以前住んでいたところには茨戸川が近くにあり、今住んでいるところの近くには千歳川があります。でも川が近くても、なにか、「危険なので近づいてはいけないところ」という印象があり、あまり川には行っていません。「近くても遠い」という感じでしょうか。
司 会そういう状況を変えようと、人が川に近づくための施設整備も進めていますよね。
企画官みなさんに川に親しんでもらうため、いろいろな施設を整備しています。豊平川には、サイクリングロードやグラウンド、ストリートバスケットコートもありますよ。
二 人豊平川には確かにありますね。雪が融けたら行ってみたいです。
伊 東私は港町で育ったので、正直言って川より港の方が身近でした。ただ、小学校の頃、どこか忘れましたが、川でラフティングを楽しんだ経験があります。
庄 司私もラフティングはしたことがあります。でも、川とは自然なもので、たくさんの人がその管理に関わっているというイメージはまるでありませんでした。私の友達も、みんなその程度の認識だと思います。
舘 井私は、本局に異動になるまで、千歳川河川事務所で工事の計画や関係者との調整という仕事をしていました。おニ人のように河川のことを知らない地元の人に、河川への理解を深めてもらうため、いろいろなイベントの企画に取り組んだことがとても印象に残っています。

 
     
 
【川の施設の利用状況】
     
     
 

豊平川河川敷のパークゴルフ場。

 

石狩川河川敷での「旭川サイクリング大会」。

 
     
   
 

司 会実際にはたくさんの職員が川の防災に関わっていて、とくに大雨の時は不眠不休で働いていますね。
企画官洪水の大きな危険性が迫ってくると、住民に避難勧告が出されることがありますが、開発局は避難勧告を行う際の重要な情報となる河川水位や洪水予報などを市町村などに伝え、時には市町村長さんに河川の状況などについてアドバイスをすることもあります。
庄 司市長さんは川の専門家じゃないから、避難勧告のタイミングはなかなかわからないかもしれませんね。
企画官市町村の職員の方々は福祉や総務なども担当することが多いですから、防災についての専門的な情報は私たちが伝えなければならないときもあるのです。普段から水防公開演習はじめ市町村長さんとの意見交換会を行ったりしていますし、また災害時にはIT技術を使って情報共有をしています。
司 会実際に、洪水が自分の身近で起きるなんて、なかなか想像できないでしょう?
二 人そうですね。洪水は「テレビのニュースなどで見るもの」という感じでした。
司 会でも災害対策は、従前にも増して重要な課題になってきています。
企画官今年も九州などで豪雨災害が多発しました。近年、雨の降り方が極端になっています。いわゆる「ゲリラ豪雨」ですね。ある地域にだけ短時間で集中的に豪雨が降り、その予測は難しいところがあります。だから、自然災害への備えを普段からしっかり行うとともに、みなさんが災害時に自ら身を守るための情報や知識を発信していくことも開発局の重要な仕事です。そのための対策を一生懸命進めています。画期的なものでは、局所的な雨量をほぼリアルタイムで観測できる「XバンドMPレーダ」の整備を進めています。 
舘 井私もおニ人と同様に、開発局に入るまでは川のことはあまり知りませんでした。入ってみて実感したのは、「知ることが助かることにつながる安全の一番の対策」だということです。これからもそのお手伝いをしていきたいですね。
企画官災害は待ってくれたりはしませんからね。
舘 井川は洪水のときは恐ろしいですが、普段は憩いの場所です。とくに、北海道の豊かな自然を体験できるのが川です。私は、千歳川河川事務所にいたときに、初めて川の中の魚を直接さわりましたが、とても楽しかったです。

 
         
     
 

平成23年9月、豪雨で増水した豊平川(幌平橋付近)。

 

普段の豊平川は豊かな自然を体験できる場(幌平橋付近)。

 
     
   
 

司 会今日は、北海道の治水事業が地域の開発を支えてきたという話も出ましたね。
伊 東私は、高校生のときに地理と地学を履修しました。地学では川ができるまでは学びましたが、今日説明してもらった、人の力でショートカットされたというところは教わりませんでした。地理では、そこに住む人の普段の生活は学んでも、洪水が起こると暮らしはどうなるかを知ることはありません。今日聞いた話は、そういう意味でとても興味深かったです。
庄 司もっと多くの人に、川と暮らしとの関わりを知る機会があれば良いと思います。川のイメージが変わって身近に感じるのでは。ショートカット工事は今も行われているんですか?
企画官主だった工事は終わり、今は遊水地などの治水対策が中心です。
庄 司千歳川の遊水地がそうですね。
企画官ひとつの遊水地の広さが、約200haにもなる大工事です。200haって、どれくらいかイメージつきますか? 縦1km横2kmの広さで、洪水を溜めこむのはもちろんのこと、普段は公園として利用もできます。千歳川流域の市町では今、普段の利活用が検討されています。
司 会今日は、石狩川の治水の歴史から、現在の治水や親水にまで話が広がったので、河川と流域と地域の関係を考えるきっかけにもなったと思います。石狩川流域が豊かな穀倉地帯になったことも、長い治水事業の歴史があり、人と川との深い関わりがありました。今度川に行く機会があったら、今日得られた河川と人との関係を考えながら川を見てみたら、これまでと違う思いも出てくるのではないでしょうか。
今日は、どうもありがとうございました。

 
     
   

 

 

石狩川の治水の歴史を刻む三日月湖(美唄市、浦臼町付近)。

 

 
     
 
地域を学ぶ、川を学ぶ「砂川遊水地管理棟」
 
         
   
 
 

砂川遊水地管理棟、今日は砂川小学校の5年生が勉強に来ました。

 

かつての水害の様子を熱心に見る子どもたち。

 
 

 砂川遊水地は、石狩川最後のショートカット工事として、昭和44年に完成した砂川新水路で生まれた三日月湖を、洪水調節に活用する治水施設です。水門等の管理を行う管理棟では、この地域や石狩川の治水の歴史を学べる展示が常時行われており、子どもたちの学びの場所になっています。砂川スイートロードで美味しいお菓子を食べた後にでも、ご家族でぜひ一度お越しください。

 
     
 
*上の写真は、当日の説明に使われた資料が多く記事中に収録できなかったため、代わりに編集部が議論の内容に合わせたものを掲載しました。