ご承知のとおり、我が国は地理的条件や気象条件等から、水害、土砂災害、渇水、地震、火山噴火等の自然災害を受けやすい厳しい環境にあり、北海道においても近年、毎年のように豪雨災害を始めとした大きな災害が発生しております。
 夕張シューパロダムが建設された夕張川流域でも、過去幾度となく水害に見舞われ、昭和11年には、それまで千歳川に合流していた夕張川を、石狩川に直接つなぐ新水路事業等が行われました。しかしながら、昭和56年8月に発生した未曾有の洪水により、石狩川、夕張川流域で多大な洪水被害を受けたことから、抜本的な治水対策として、夕張川に新たに洪水調節を目的としたダムが計画に位置付けられることとなりました。また、道央圏は稲作を中心とした北海道有数の農業地帯として、道内のみならず我が国の食料供給基地としての役割を担い、良質で安全かつ新鮮な農作物を安定的に供給するため、農業用水の需要に対応する必要がありました。これらの目的に、江別市をはじめ4市3町の水道用水の供給、そしてエネルギーの安定供給を図るための発電を加え、昭和37年に完成し長年に亘り農業用水を供給してきた大夕張ダムを、多目的ダムとして再開発することとなりました。平成7年に建設に着手以来完成まで20年、計画に位置付けられてからは34年に及ぶ事業となりました。夕張シューパロダムの総貯水容量は、大夕張ダムの約5倍、湖の面積は約3倍で全国第2位となり、我が国でも最大級のダムとなります。
 明治時代の開拓に始まり、北海道の社会、経済、文化の中心として発展してきた道央圏は、夕張シューパロダムの完成により、更なる発展が図られるものと確信しております。
 新たに生まれ変わるシューパロ湖は、その背後に富良野芦別道立自然公園が広がり、夕張岳をはじめとする風光明媚な山々には、毎年多くの登山客が訪れています。この美しい景観が当地域の新たな観光資源として、また癒しの空間として、地域の方々に愛され、地域の活性化に貢献するものと大いに期待しているところです。
 結びに、これまで事業の推進にあたり、長年にわたって御協力、御尽力いただきました関係各位に改めまして御礼申し上げます。とりわけ事業にご理解を頂き、貴重な土地を提供いただきました地権者の皆様に深く感謝申し上げましてご挨拶とさせて頂きます。

 
     
  写真:北海道開発局